しれっと勝つ
昨日の高校野球・広島大会はマツダスタジアムで決勝戦があった。
いつもなら球場で観戦するのだが、この酷暑で断念した。
前評判では強豪広島商業が創部51年で過去ベスト16が最高の
福山を圧勝すると予想されていた。
しかしネットのLive配信を視ると、5回のクーリングタイム時に
3対1と広島商リードの接戦だった。6回から釘付けになったが
福山が4対3で逆転し、初の甲子園出場を決めた。この快挙に
高校野球ファンは誰もが度肝を抜かれたと思う。
福山に今春就任した小田浩監督。広島商出身だが、選手時代の夏に
全国準優勝を果たした。監督としては選手勧誘が難しい公立校で
西条農を2度、そして総合技術を1度、甲子園出場を果たし、
校長歴を経て62才で監督復帰。
15年ぶりの采配をふるう監督が最初に選手に投げかけた言葉は
「大会まで100日しかないと思うのではなく100日ある」
そして掲げたフレーズは「しれっと勝つ」だ。
「しれっと」とは動じることなく平然とした様を表す言葉だ。
決して個々の力が秀でているのではない福山。
しかし、最終回に広島商業の反撃のきっかけを摘み取ったライトの
三谷選手のダイビングキャッチには鳥肌が立った。彼はこの春まで
補欠だったが、足と守備を見込まれて小田監督が突然レギュラーに
抜擢したそうだ。これこそが小田マジックといわれる所以である。
私も高校時代、愛媛県大会でベスト8まで勝ち上がった。
しかし私の不用意な一球を痛打され2対0で惜敗した経験がある。
しかし「精一杯やり切った満足感」があり、悔し涙は出なかった。
なぜならば、やり残したことはなかったからだ。
小田監督の「しれっと勝つ」は含蓄のあるいい言葉だ。

中国新聞 7月29日朝刊より引用

