木造4階建の課題
最近の4ヶ月間は中大規模木造建築の実現に向けて、ところ構わず情報
収拾に奔走しました。木材活用フォーラムや構造材サプライチェーンの
オンラインセミナー、木造4階建の現場見学会や説明会への参加。
それに、S社の特許技術を使った大手ゼネコンの施工現場での学習など、
いずれの会場でも混構造のレクチャーや省コストのノウハウ、構造設計の
考え方を学ばせて頂いた。それらは、未来の木造建築を拓く試みであるが…。
結論は予想通りコスト面が最大の課題であることが判明しました。
木造4階建は耐火構造を要求されます。石こうボード二重貼りの壁や床など、
耐火仕様にすると建物の重量が重くなり、さらに衝撃・振動対策の荷重も
増え、4階建では見付面積の最下層の風圧重量も増えることになります。
そのため、従来の住宅で使用する5倍壁や7倍壁では要求される荷重に抵抗
する耐力壁が足りず、建物のデザインをキープしつつ構造設計をすることが
難しいことが分かりました。
現在、壁倍率で表すと15倍や20倍の高耐力壁も開発されています。
しかし、それらを採用すると周辺部材への影響、つまり壁を構成する柱に
大きな圧縮や引張力が作用し、壁の曲げ変形から周辺の梁に大きな応力が
伝わります。その結果、材料費や職人の手間だけでなく、他にも実験に
よって検証された多くの課題が山積みされています。
近年の大地震が想定される我が国では、顧客への品質保証が問われており、
4階建の普及はまだまだ難しそうですが、先の楽しみとしたいものです。

「木材活用フォーラム」資料より引用

