家を売る営業マンの今昔

人口14億人を誇る中国では、すべての土地は中国政府
ならびに人民全員のものであるという考え方から、
個人所有は認められていません。
しかし、地代を支払うことにより住宅用地であれば
70年の土地使用権を得ることができます。
だから、中国の富裕層は「終身制」の日本の土地所有権
制度に着眼し、我が国の不動産を買い漁っているわけです。

朝日新聞 2022年12月2日 朝刊
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『家を売る公務員 ノルマは月4軒』

このフレーズは朝日新聞の「中国不動産の異変」という
連載記事の見出しです。中国の大都市では住民の
平均年収の40倍まで住宅価格が上昇し、超バブルが
発生しています。日本の住宅価格に換算すると1軒
2億円相当の高額です。
そんな折、中国最大の不動産会社(中国恒大)の経営
危機が発覚。家が売れなければ土地の使用権収入が
激減する中国の地方都市の財政。9月末の地方政府
の負債は5年で2倍以上の約700兆円に膨らんでいる
といわれています。そこで、公務員が営業マンとして
家を売っているのです。
そのノルマは月4軒。この数字はかなり過酷です。

日経新聞 2022年3月12月号 記事 住宅営業 日曜定休に
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『住宅営業 日曜定休だって』

この記事のタイトルはデジタル化によりオンラインで
仕事の効率化が進んだことと、優秀な人材の離職を
防ぐのが理由らしい。
今、日本の住宅業界は「家が売れない」冬の陣で、
住宅会社の苦肉の策であることが窺えます。
住宅営業マンが大活躍した1970年代は、
年間・1人当たり平均10軒。近年は6軒売れば
合格で、春夏秋冬に1軒売るのがアベレージです。
中国の営業マンのノルマは年間48棟です。

それにしても中国人の馬力には
驚かされます。
私が中国で住宅営業の翻訳本を出版
(北京の科学出版社)したのが2004年。
当時中国では一戸建需要が高まっており、
民間住宅会社の営業マンの手引書として
上梓しました。
今や中国では営業力を駆使し猛烈。
日本はデジタル化によりスマート(?)。
「人の心を動かすのがセールスの醍醐味」。
さて、どうなるのか?

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