『映画「沈まぬ太陽」』

全世界を股にかけ、大活躍する商社の
K社長から薦められ読破した本。
それは『沈まぬ太陽』。2000年のことだ。
そして昨年、映画化が決定し、文庫本を購入。
  
ワクワクしながら待望の映画を観た。休憩をはさんで
3時間余の上映時間にツレは『長い』と言った。
原作を熟知している僕は些か物足りなかった。
  
しかしこの物語は今の混迷する政財界や
企業の在り方すべてに通じるものだ。
JAL問題が問われる折、この時期の上映は
山崎豊子さんの運のツキを感じる。
  
主人公、恩地元の「信念は決して消えない」と
いう不屈の精神や激動の時代をかけ抜けた
熱き男の生き様に、勇気をもらった。
  
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『しゃべるな』

うだつが上がらない精彩のない営業マンたち。
「商品が悪い、高い」とこっそり打ち明けてくる。
「N君はなぜ売れるの?」 「……」
言葉にならない彼らに一喝。
  
「売り込むな、説得するな」そして「しゃべるな」。
「?」「?」「?」
「しゃべらなくて営業ができますか?」
「できるとも」
「モノを見せればいい。すると関心のあるお客様は
目が輝いて本音で質問してくるから。
本音がつかめると見極めも簡単だ。
しゃべらないやり方が賢いんだよ」
  
営業用ポスターやアプローチツール、
それに提案プレゼンや住宅模型。
これらは自分史やひとり新聞同様、
すべて一味ちがう手づくりがいい。
  
どんなツールを使って相手の心に響くように
自分の想いを伝えるか、これが「究極の営業」だ。
最近プロデュースしている家づくりのDVD。
感動を呼ぶ卓越した作品にしたい。
 
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『「木の精」が処を得るとき』

法隆寺の棟梁が語るところに
「塔組みは木組み、木組みは木のくせ組み」
という口伝がある。
  
秋晴れのこの日『雨楽な家』のヘルメットに
UマークのうらくTシャツ姿で現場へ出掛けた。
  
現場では一本一本の木は何も物言わない。
しかし木は大工さんたちの手で生命を
吹き込まれて何かを語りかけてくるようだ。
「精魂をこめず木をお座なりの扱いを
すれば、木は必ず暴れ、そして狂う」
という言葉を耳にしたことがある。
そんな気持ちで職人さんの仕事ぶりを
見ているとなぜか僕も元気になってくる。
      
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『至極残念』

「もうやりたいことがない」という遺書を
残して加藤和彦さんは逝ってしまった。
17日の突然の悲報に大きな衝撃が走った。
  
僕が学生の頃、夏休みに帰郷した
友人からプレゼントされたレコード。
それは加藤さんが作曲した
「帰ってきたヨッパライ」。不思議な曲だった。
テープの高速回転による甲高い歌声、
奇抜な歌詞で学生バンドながら
ミリオンセラー(280万枚)を記録した。
デビュー以来、彼の多彩な才能をいつも
注目していたが僕の大好きな曲は
政治的配慮から
発売中止となった「イムジン河」だ。
 
ヒット曲「帰ってきたヨッパライ」の詞。それは

                             オラは死んじまったダ。天国に行ったダ。
                             雲の階段を踏み外して地上に落ちたダ。
                             そして生き返ったダ

でも加藤さんはもう生き返ることはない。
                                                                     合掌
 
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『東京のオアシス—お茶の水』

お茶の水駅界隈はいつも喧噪としている。
歩行者が多く道路が狭いせいかもしれない。
駅に隣接するお茶の水橋。
この神田川に架かる橋は前方に格好いい
聖橋があるせいか風采が上がらない。
駅前には存在感のある古い交番がある。
そして駅の南側のなだらかな坂を下ると
神田方面にたくさん楽器店が店構えしている。
  
書店・出版社も近くに点在している。
こんなお茶の水の街を訪れるとなぜかホッとする。
お茶の水橋から聖橋を望む風景は最高にいい。
 
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『音量たっぷりで』

倉庫から出てきたLPレコードが84枚もあった。
40年前の代物だ。驚いた。うれしくなった。
すぐプレーヤー・アンプ・スピーカーを買い付けた。
  
マイク真木に拓郎・フォークルに五つの赤い風船。
ジローズ・ナターシャセブン・赤い鳥。
それにPPMやブラフォーそしてキングストントリオに
ボブディランなどのジャケットもほこりをかぶっていた。
学生時代に針がすり切れるまで何度となく
耳を傾けていたのはPPMの曲。
「パフ」「風に吹かれて」「くよくよするな」などだ。
     
先月、旅立ってしまったPPMのマリー。
時を同じくして発掘できた貴重なレコード盤。
これも何かのめぐり会わせなのだろうか。
スリ切れたレコードの音も今では気にならない。
 
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『卓越した野村脳』

ゼロから球界に参入し、開幕2戦目に
屈辱の0対26の歴史的大敗を喫した
楽天イーグルスが5年目の今年、Aクラス入りした。
田尾氏を1年で見切り、野村克也監督に託した
成果である。野村監督は「ID野球」「野村再生工場」
「敵は我に在り」など鮮烈なキャッチコピーで
メディアの注目をいつも集めてきた。
試合後に映し出される例の「ボヤキ」も
含蓄があって的を射ていて実に面白い。
  
野村監督は「勝つ野球」を熟知していて
正しい方法で勝つ戦を実践しているのだ。
スポーツ・経営・営業・学問・健康長寿…。
何をするにしても正しい方法がある。
それを知り、コツコツ実行すればいい。
 
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『これも人の技、畏るべし』

昨日はテレビに釘づけだった。
「こんなシナリオは誰も書けないと思う」
インタビューに応える石川遼。
石川はご存知のように15歳で
アマチュアながらプロのトーナメントを制し、
今年はマスターズに招待され、賞金獲得も
2年連続1億円を突破した18歳の高校生。
ダボ2発で69のスコアはまさに神業だ。
 
生島淳さんのコメントを思い出した。
「年齢にだまされてはいけない。密度の濃い人生を
送っている遼は既にベテランの域に達している」
なるほど、若い彼の可能性は無限なのだ。
その末恐ろしいまでの技量と精神力。
世界に通用するアスリートとして楽しみだ。
   
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『青春』

吉田拓郎。その昔彼がステージで唄う
オープニング曲は『青春の詩』だった。
  
GoGoクラブで汗だくで踊り疲れること♪
アーそれが青春
バイトばっかりで学校にいかず適当にやること
アーそれが青春
勉強一筋、外には目もくれず我が道を行くこと
アーそれが青春
スポーツこそ男の根性づくりだ、やれサッカーやれ、
野球やれ一年中、顔はまっくろ
アーそれが青春
さて青春とは一体なんだろう。
その答えは人によってちがうだろう。
 
母校の塀には関西在住のOBから、出場を
祈願して『甲子園のツタ』が寄贈されている。
僕はいつも青春のド真中にいたい。
いくら齢を重ねても夢中でありたい。
白球を追っかけていたころのように。
 
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今も元気な野球部OB
 
 

『火天の城』

東映の時代劇は昔からよく観ていた。
大川橋蔵と大友柳太郎のファンだった。
今も武士道の映像には関心が深い。
商家の土間やタタミ敷きの座敷、そして縁側。
武士やそのツレの言葉遣いや仕草、
それに語り継がれる口伝の数々や
建築空間や造作はとても参考になる。
「雨楽な家」と「武士道」には相通じるものが
あるから余計に瞠目を誘ってしまうのだろう。

山本兼一の傑作歴史小説『火天の城』を観た。 
CGを駆使したセットには限界があるが、
鋭敏な筆致による、隙のない構成は
さすがでキャストも多士済済だ。
  
「木組み」は「心組み」という家づくりの精神
築城に命まで賭した男たちの野心
そんな男たちを支え続けた家族の絆
そして職人の伝統に貫かれた日本の美
  
「武士の一分」も十分堪能できたが、
「火天の城」も見せ場が多く、イチ押ししたい。
  
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