小学生の頃の夏休み。
校庭で野球の練習を終え
くたくたになった体にムチ打って
自転車をこいで家路を急ぐ。
いつも玉のような汗が額に吹き出していた。
家に着くと、
母ちゃんが路地に打ち水をしていた。
自転車を引いて土間を通ると、
ひんやりした心地よい風が通り抜ける。
坪庭の脇に置いたバケツの中に
スイカが冷やしてあった。
友だちといっしょに仲良く頬ばる。
土間でスイカの種の飛ばし合いが始まる。
『プッ、プッ、プッ』『プッ、プッ』
野球は下手でも遠くへ
飛ばすのが得意な淳平くん。
僕はいつも「参った、参った」と笑っていた。