『懐かしのあの時代を』

姉ちゃんがお嫁にいくらしい。
姉ちゃんの上気した声が
ふすまの向こうから聞こえてくる。
柱時計がボーンボーンと10回鳴り響く。
 
裸電球の下で、父ちゃんと母ちゃんが
くっつくようにしてひそひそ話。
「なんの話?」と、近づいていくと
「お前はこんでええ」とやんわり遠ざけられる。
仕方がないので、教科書を広げて勉強のふり。
だけど気になって集中できない。
 
柱時計がボーンボーンと11回鳴り響く。
だんだん眠気がやってくる。
ふすまの向こうの姉ちゃんの
話し声がだんだん遠くなっていく。
 
この文言は弊社の広報部が作成した
「雨楽ものがたり」の12作のひとつだ。
 
チックタック、チックタック。
時を刻む古時計。
この一定のリズムがとても心地いい。
古時計を探しに町に出てみた。

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