先日、訪れた温泉宿『石亭』は何もかも粋だ。
部屋に通されひと息いれて書斎机に
座ると、白い小石と松葉と一文が置かれていた。
まだ 手紙のなかった頃、
人は小石に松葉を結んだものを
置きつづけ、想う人を待ちました。
その小石がなくなった時、
その思いは伝わったといいます。
「小石に松」 ——— 「恋しく待つ」
お客様のご来亭、心よりお待ちしておりました。
石亭
心憎い演出である。人は粋なもてなしに
つい、乗せられてしまうものだ。