『網走・最果ての地』

老舗企業の創業100周年記念事業に
招かれ北海道北見市を訪れた。
前日、網走監獄博物館まで足を伸ばす。
そこで、北方ロシアの脅威から日本を護り
北海道の開拓を進める囚徒たちの
知られざる北方史を見聞した。
 
「未開地の開拓は多額の費用がかかる。
賃金の安い囚徒を使えば工事費は
抑えられ、苦役で囚徒が死んだとしても
監獄の出費が浮くのだから一石二鳥だ」
当時の伊藤博文の名代だった金子堅太郎の
冷酷な提言に身ぶるいした。
行刑のすべてが展示されている館内で
風雪に耐えた男たちの物語を一読した。
マイナス20度の館外では、赤煉瓦塀に
囲われた建物の息吹と囚徒のつぶやきが
かすかに聞こえてきたような錯覚に見舞われた。
 
「ひめゆりの塔」の沖縄から網走へ。
温度差はなんと43度。
何よりも「命の尊さ」に震撼した。合掌。
 
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